誠和建材は九条グループのような大企業と比べるとまだまだですが、この会社は業界でかなりの知名度があり、あと数年もすれば必ず成長し、九条グループを超えることもできるでしょう。
小林静香は続けて言った。「お母さんはもう年だから、のんびりと過ごしたいの。あなたが九条政と木村家の母娘を生かさず殺さずにしておかないことは分かっているわ。だから、この会社はあなたに任せるわ。すべてあなたの思い通りにしていいのよ。」
「お母さん……」
九条結衣は複雑な表情で小林静香を見つめた。小林静香は学者の家系の出身で、その雰囲気は実業家というよりも学者のようだった。周りに漂う穏やかな雰囲気は、時折見せる結衣の冷徹さとは対照的だった。
実際、九条グループを相手にするのはそれほど難しくないとはいえ、所詮痩せ馬より太った駱駝の方が大きいように、九条政と木村靖子の母娘を簡単に失脚させるのは容易ではなかった。