191.このヤリマンは面白いね

木村靖子の顔色が白くなったり黒くなったりと変化し、両手を強く握りしめ、渡辺拓馬と九条結衣の笑顔を睨みつけ、歯ぎしりするほど怒っていた。

自分と九条結衣の立場がまもなく入れ替わることを考えると、木村靖子は背筋が急に伸び、以前ほど彼女を恐れなくなった。

彼女は冷笑いを浮かべながら九条結衣を見つめ、得意げな表情で言った。「九条結衣、まだ現実が分かってないの?あなたのお母さんはもう父と離婚したのよ。これからは私の母が九条夫人になるの。今のあなたは、私と母の機嫌を取らないと九条家でいい暮らしはできないわ。さもないと…」

そう言い終わると、彼女は九条結衣の落ち着き払った様子を上から下まで見渡し、冷笑を漏らした。

九条結衣の口元には淡い笑みが浮かび、意味深な眼差しで木村靖子の傲慢な顔を見つめていた。その眼差しは、まるで知的障害者を見るかのようだった。

木村靖子は、九条結衣がこの言葉を聞いた後も相変わらず落ち着き払っている様子を見て、眉をひそめた。

九条結衣は何もかも失ったのに、なぜこんなにも余裕があるのか。まだ自分が九条家のお嬢様だと思っているのか?

傍らの渡辺拓馬は思わず笑い声を上げ、不良っぽい目つきで九条結衣を見ながら言った。「君がなぜ全然面白くないのか分かったよ。九条社長の面白い遺伝子は全部この私生児に受け継がれちゃったんだな」

他の企業が九条グループに頼らなければならないとしても、渡辺家はその必要がなかった。

渡辺拓馬の父親である渡辺竹流は、ビジネス界でも名の通った人物で、渡辺拓馬は誰かに気を使って話す必要は全くなく、言いたいことを言えばよかった。

特に目の前の、自分が何者なのかも分かっていない私生児が彼の結衣に挑発してくるなんて、まさに死に急ぎだ!

木村靖子の表情が凍りついた。渡辺拓馬の言葉の意味が分からないはずがない。

彼女が面白いだって?誰が本当に面白いというの。

九条結衣は九条家を離れ、九条政の娘という身分を失って、自分が何者だと思っているの。

彼女は渡辺拓馬の九条結衣に取り入るような態度を冷笑いながら見つめ、皮肉を込めて言った。「渡辺先生がそんなに姉を喜ばせても無駄じゃないですか?彼女は今でも既婚者よ。あなた、私の姉の男側の愛人になるつもり?」