その言葉を聞いて、九条結衣の表情が凍りつき、さらに冷たくなったが、藤堂澄人に逆らう勇気はなく、ただ冷たい目つきで彼を睨みつけるだけだった。
「そうそう、それでいい」
藤堂澄人は満足げに唇の端を上げ、九条結衣を抱きかかえて車へと向かった。
九条結衣は足の痛みが増してきており、藤堂澄人と言い争う気力もなく、近くの整形外科に連れて行かれるままだった。
「骨のずれはないようですが、足首の靭帯を痛めていますので、しばらく歩くことはできません」
医師はレントゲン写真を置きながら言い、特製の軟膏を塗り、足首にガーゼを何重にも巻きつけた。そして「帰ってから一週間は歩かないようにしてください。包帯を巻いている部分は水に濡らさないように。一週間後に再診に来てください」と注意を促した。