彼女の顔色が暗くなっていくのを見て、藤堂澄人は目の中の笑みを深めながら言った。「いいじゃないか、初めて見るわけじゃないんだし。」
その言葉が落ちると、九条結衣の怒りに燃える目を前に、彼女を抱きかかえて浴室から出た。
九条結衣は藤堂澄人の前で恥をかきたくなかったので、バスタオルをしっかりと握りしめ、肌を隠しながら、藤堂澄人に抱かれて浴室からベッドまで運ばれた。
「もういいわ、出て行って。」
九条結衣はベッドの布団を引き寄せて自分の体を隠し、冷たい目で藤堂澄人を見つめた。
さっき浴室で寝てしまい、藤堂澄人に浴槽から引き上げられたことを思い出すと、内臓がねじれるほど腹が立ち、思わず頬が熱くなった。
くそっ!
藤堂澄人は彼女を穏やかに見つめ、微笑んで言った。「今さら隠すのは遅いんじゃないか。さっき浴槽で寝ていた時、もう全部見させてもらったよ。」
九条結衣の顔色が更に暗くなるのを見て、藤堂澄人の気分は一層良くなった。彼はベッドに片膝をつき、九条結衣に身を寄せ、熱く艶めかしい目つきで言った。「さっき片足を浴槽の縁に掛けていた姿は、本当に君を食べてしまいたくなるような色気があったよ。」
彼は手を伸ばし、九条結衣の尖った顎を持ち上げ、深い瞳の中の笑みを更に深めた。
九条結衣は彼の言葉に顔色を悪くしていった。確かにあの時、足が水に濡れないように浴槽の縁に掛けていたが、その光景を思い出すと、自分でも血が上るのを感じた。
藤堂澄人は元々ただ彼女を怒らせたかっただけだった。この女は普段から彼を怒らせるような物言いをして、口も悪く毒舌だったが、それでも彼は彼女に何もできなかった。
今、彼女が自分の前で怒りで顔を青くしているのを見て、急に気分が良くなった。
しかし、指先が彼女の滑らかで柔らかい肌に触れた瞬間、まるで熱湯で火傷したかのように、一瞬にして全身の血が熱くなった。
怒りで微かに震える、目の前のピンク色の唇を見つめているうちに、まるで魔法にかかったかのように、思わず前に身を乗り出し、その唇を含んだ。
「んっ……」
九条結衣は本能的に抵抗したが、後頭部を藤堂澄人に強引に押さえつけられ、固く閉じた唇は彼の巧みな技で開かれ、器用な舌先が侵入して、思うがままに攻め立てた。