176.一目瞭然

彼女の顔色が暗くなっていくのを見て、藤堂澄人は目の中の笑みを深めながら言った。「いいじゃないか、初めて見るわけじゃないんだし。」

その言葉が落ちると、九条結衣の怒りに燃える目を前に、彼女を抱きかかえて浴室から出た。

九条結衣は藤堂澄人の前で恥をかきたくなかったので、バスタオルをしっかりと握りしめ、肌を隠しながら、藤堂澄人に抱かれて浴室からベッドまで運ばれた。

「もういいわ、出て行って。」

九条結衣はベッドの布団を引き寄せて自分の体を隠し、冷たい目で藤堂澄人を見つめた。

さっき浴室で寝てしまい、藤堂澄人に浴槽から引き上げられたことを思い出すと、内臓がねじれるほど腹が立ち、思わず頬が熱くなった。

くそっ!

藤堂澄人は彼女を穏やかに見つめ、微笑んで言った。「今さら隠すのは遅いんじゃないか。さっき浴槽で寝ていた時、もう全部見させてもらったよ。」