217.服を脱ぐ

「ありがとう」

九条結衣は適当に返事をすると、服に残った汚れを嫌そうに眉をひそめながら、ベッドから起き上がった。

その様子を見た藤堂澄人は顔を曇らせながら近寄り、冷たい声で言った。「こんな状態なのに、まだ大人しくできないのか?」

その話題を出されて、結衣は腹が立った。彼が近くにいなければ、吐くことなんてなかったのに。

睨みつけながら結衣は言い返した。「吐いてみろって言ったでしょう?私が吐いたんだから、あなたも出て行けるでしょう!」

「九条結衣、お前...お前...」

藤堂澄人は彼女を罵りたかったが、どんな言葉を探しても適切な罵倒が見つからず、最後には「恩知らずな生意気女め」と一言残し、足元のゴミ箱を蹴り飛ばして部屋を出て行った。

結衣は彼のことは気にせず、ベッドから降りて洗面所に向かおうとしたが、立ち上がった途端にまた目が回り、一歩も動けなくなった。