「体が臭すぎて、我慢できないわ」
九条結衣の顔が再び曇った。「人の言葉が分からないの?我慢できないなら出て行けばいいでしょう。なぜここにいつまでもいるの?」
藤堂澄人は今回本当に彼女を からかうつもりはなかった。もともと軽い脳震盪があり、さっき吐いたばかりで、体力も弱っていた。
彼女を一人でここに置いておくのは、本当に心配だった。
しかし明らかに、このまま居続けようとすれば、九条結衣は決して彼の思い通りにはさせず、ずっと対立し続けるだろう。
「分かった、出ていく。でも早く済ませてくれ。十分経っても出てこなかったら、入るぞ」
九条結衣は藤堂澄人がこんなにも簡単に妥協するとは思わなかったが、体のべたつく感覚を思い出し、彼と言い争うこともなく、しかめ面で頷いた。
藤堂澄人はすぐに向きを変えて外に出て、ついでにドアも閉めてあげた。