216.吐いてみろよ

彼の両手は、九条結衣の両手を頭の上で押さえつけ、二人は見つめ合っていた。この姿勢だけでも、人の妄想を掻き立てるには十分だった。

病室の灯りは消えたままで、月の光が窓から差し込み、九条結衣の瞳を照らしていた。

彼女の目は昔からとても綺麗で、大きくて丸い。今、怒って彼を見つめる瞳には、どこか妖艶な色が宿っていた。

胸は怒りで上下に激しく動いていた。

そんな彼女を見ているだけで、藤堂澄人は下腹部から制御不能な熱が広がっていくのを感じた。

喉仏が軽く二度上下し、九条結衣を見る目が熱を帯びてきた。

宙に浮いた体が、少しずつ意識せずに下がっていき、二人の間の狭い空間をさらに縮めていった。

藤堂澄人の明らかに変化した視線を見て、九条結衣は眉間にしわを寄せた。「藤堂澄人、どいてって言ってるでしょ」