「そうだね」
栗原亜木は肩をすくめ、少し気のない様子で答えた。まるで他人事のような態度だった。
「今回のトラブルはお前が引き起こしたんだ。自分で解決しろ。さもないと、ただじゃ済まないぞ」
これには栗原亜木も逆上した。
「何が私が引き起こしたって?私がパソコンのデータを盗まれるように仕向けたわけじゃないでしょう。九条結衣が人を見る目がないだけで、雇った何とかいうチームは、チームワークもクソもない...」
栗原亜木はさらに文句を言おうとしたが、藤堂澄人の警告的な眼差しを受け、賢明にも口を閉ざした。
「それにしても、兄さん、本当に九条結衣を追いかけたいの?こんなに熱心な兄さんを見たことないよ。朝早くからわざわざA市からここまで来て、この件について私に聞くなんて」
栗原亜木は好奇心いっぱいの表情で、期待を込めて藤堂澄人を見つめた。異性に縁のない彼から、世間を驚かせるようなゴシップを引き出そうとしていた。