249.お茶に誘う

九条結衣は彼の方を見上げると、彼が九条初の前で足を組んで座り、一緒にブロック遊びをしている姿が目に入った。彼は振り返らなかった。

彼女はその場に数秒立ち尽くした後、身を翻して立ち去った。

なぜか、さっきの藤堂澄人の表情が気になって、まるで自分が何か悪いことをしてしまったような気分になった。

九条結衣が出て行き、ドアを閉めると、藤堂澄人はようやく後ろを振り返った。その目には僅かな苦みと寂しさが宿っていた。

栄光グループ——

「社長」

総務部長補佐が慌てて社長室のドアを開けて入ってきたが、目の前の艶めかしい光景に顔を真っ赤にした。

「お前、死にたいのか?こんな時に入ってきやがって」

ソファーの上で、肥満体の中年男性が妖艶な女性を押し倒し、必死に彼女の服を引き裂こうとしていた。