236.泥棒が泥棒を捕まえろと叫ぶ

彼女の周りの男たちは、藤堂澄人と比べものにならなかった。

小林由香里の表情は、様々な変化を経た後、すぐに落ち着きを取り戻し、部屋に戻った。

誠和グループ——

「九条社長、栄光グループの方では、我々が彼らの会社の権益を侵害したと断言しており、さらに我々を告発した後、中瑞の幹部と接触を図り、我々との協力関係を解消させようとしています。」

宮崎裕司は手元の資料を九条結衣に渡しながら、続けて言った。「中瑞の黒崎社長とは多少の付き合いがあるので、今のところこの件は抑えていますが、時間が経って我々が証拠を示せないとなると、中瑞は本当に我々との協力関係を解消するかもしれません。」

ここまで話して、宮崎裕司の顔には悩ましい表情が浮かんだ。

中瑞との協力関係の解消はまだ二の次で、誠和が上場を控えているこのタイミングでこんな事が起きるのは、明らかに相手が誠和を狙っているということだった。