藤堂澄人の声は大きくなかったが、人を威圧する力を持っており、藤堂瞳は思わず二歩後ずさりした。
「あなた...どうしてそんな風に靖子のことを言えるの?飢えた者は選り好みしないって、靖子はそんなにダメな人なの?」
藤堂瞳は首を突っ張って言った。
「藤堂瞳、最後に警告する。私と九条結衣の間のことに口を出すな。まだ懲りていないなら、もう藤堂家に足を踏み入れるな」
藤堂瞳は信じられない様子で藤堂澄人を見つめた。「お兄ちゃん、狂ったの?私はあなたの実の妹よ。九条結衣のために私を藤堂家から追い出すつもり?」
「実の妹だって?お前が木村姓を名乗っているのかと思ったよ!」
「あなた...」
藤堂瞳は胸を押さえて息苦しさを感じていたが、藤堂澄人は彼女を一瞥もせず、内線を押した。「警備員を呼んで、藤堂瞳を外に出してくれ」