277.藤堂社長の追い打ち

九条結衣は落ち着いた口調で話し、悠然とした様子を見せ、木村家の母娘は顔を歪めるほど腹を立てていた。

「結衣、とにかく今日中に木村叔母さんに謝罪しなさい。どう考えても、彼女はお前の継母で、目上の人なんだ！！！」

九条政は歯を食いしばって九条結衣を睨みつけ、親の威厳を示そうとした。

「継母？」

それまで黙っていた藤堂澄人が、突然口を開いた。低く冷たい声色に、九条政たち三人は一瞬不安を覚えた。

藤堂澄人は視線を九条政の隣にいる木村富子にゆっくりと向け、めったに見せない驚きの色を瞳に宿して言った。「木村さん、正式な立場になられたんですか？」

彼は軽く唇を歪め、意外なほど誠実な表情で続けた。「二十六年もお待ちになるのは大変でしたね、おめでとうございます」

その場にいた人々は藤堂澄人のこの言葉を聞いて一瞬固まり、表情が目まぐるしく変化し始めた。

藤堂澄人はいつも人の事に口を出すのを好まない人だったので、この「おめでとう」という言葉はかえって強い皮肉に聞こえた。

正式な立場？

二十六年も待った？

これで何もかも明らかじゃないか？

先ほどの九条政が九条結衣を責めた時の曖昧な言葉から、知らない人は九条政が離婚後に木村富子と知り合ったと思うかもしれないが、藤堂澄人のこの一言で、多くの人が真相を理解した。

離婚してまだ半年なのに、この女性は二十六年も待っていた。これは何を意味するのか？この女性が二十六年間も愛人だったということだ。もしかしたら、夫婦の離婚も彼女が仕組んだのかもしれない。

そうだとすれば、娘に侮辱されようが殴られようが、当然の報いだ！！

木村富子母娘の顔色が次々と変化した。他の誰かがこんなことを言えば、その口を引き裂いてやれたのに、目の前に座っているのは誰でもない藤堂澄人、誰も軽々しく手を出せない藤堂グループの総帥なのだ。

周囲から向けられる異様な視線に、木村靖子は血を吐きそうなほど怒っていたが、表面上は哀れを誘うような態度を装い、目に涙を浮かべ、下唇を噛みしめながら藤堂澄人を見つめ、声を詰まらせて言った。「澄、澄人さん...どうしてそんなことを...」

「ん？」