297.ニセモノの研究所

九条政の心の中では、すでに九条結衣という娘を勘当していた。

この瞬間、彼の言葉は会社と株主の利益を考えているという大義名分を掲げているが、彼の本当の意図が何なのか、九条結衣の心にははっきりと分かっていた。

彼女の視線は、会議に出席している大小の株主たちをゆっくりと見渡し、唇を引き締めて微笑んだ。

九条政と小林静香が離婚する前は、二人の株式を合わせると40パーセント、九条結衣が持つ15パーセントと合わせて、九条家は九条グループの株式の55パーセントを占めており、他の株主を全部合わせても45パーセントだった。

九条グループに対して、九条家は絶対的な支配権を持っており、九条政の取締役会長の座は当然揺るぎないものだった。

しかし、現状は違っていた。

九条政と小林静香が離婚し、九条政の手元には20パーセントの株式しか残っていなかった。