296.株主総会

「この環境に優しいペイントのプロジェクトが成功すれば、確かに大きな収益が見込めます。現在、国は環境保護を強く推進しており、一般市民も内装材の安全性に対する要求が非常に高くなっています。現在市場で謳われているホルムアルデヒドフリーは単なる謳い文句で、含有量は低いものの、本当の意味でのホルムアルデヒドフリーを実現している製品はほとんどありません。もしこのプロジェクトで本当にホルムアルデヒドフリーを実現できれば、我が社の発展に大きなアドバンテージとなるでしょう」

若手の株主の一人が口を開いた。

九条政の隣に座っていた木村靖子は、九条政がこのプロジェクトについて話し始めると、目を輝かせた。

このプロジェクトは彼女の叔父が研究開発を担当しているもので、九条グループがこのプロジェクトを支持すれば、成功した暁には彼女の九条グループでの地位も上がるはずだった。