301.奥さんは好き勝手できる

「澄人、九条結衣があなたにどうしたか忘れたの?澄人、澄人、私にこんなことしないで、澄人……」

藤堂澄人は平然と九条結衣の隣に座り、会議室内の他の黙っている取締役たちに視線を向け、唇を少し歪めて——

「では、会議を始めましょう」

九条結衣は藤堂澄人が現れるとは思っていなかったし、彼が木村靖子をこんなにも直接的に追い出すとは、九条政の顔も立てないとは、なおさら予想外だった。

しかし今、彼女は認めざるを得なかった。あのうるさい雌鳥が追い出されたおかげで、確かに耳元は随分と静かになった。

九条政は今、胸に詰まった怒りを上にも下にも動かせず、目を血走らせて九条結衣の落ち着いた顔を睨みつけていた。

「結衣、お前は...お前は本当に私を目に入れていないのか」

それを聞いて、九条結衣は面倒くさそうに瞼を持ち上げ、九条政の怒り狂った顔を見て、軽蔑するように鼻で笑い、冷淡に言った。「ええ、そうです」

「ふっ——」

耳元で遠慮のない低い笑い声が聞こえた。「いたずらっ子だな」

九条結衣は物憂げに隣を見やり、藤堂澄人の笑みを含んだ瞳と目が合った。

九条政の顔は今や怒りで歪み醜くなっていて、周りの人々は彼を見る目が、まるで茶番劇を見るかのようだった。

これらの株主たちの目には、九条政という人物は確かにプライベートな面では品位に欠け、道義に反する行為をしているが、かつての九条グループの危機の際、彼が会社を立て直せたのは、それなりの手腕があったからだと思われていた。

彼らは当時、実際に九条グループの局面を裏で立て直したのが九条結衣だったことを知らず、当然のように九条政が会社の運営において手腕があると思い込んでいた。

たとえここ数年、彼が大きな発展を成し遂げていなくても、当時の「偉大な功績」を否定する者はいなかった。

そして、周りの人々の目には手腕と度胸のあるこの会社の取締役会長が、続けざまに娘と婿に面子を潰され、顔を地に踏みつけられても、それ以上の行動を起こせないでいる様子を見て、彼を見る目が微妙なものに変わっていった。

「結衣、お前は株式を一番多く持っているからといって、好き勝手にできると思うな!」

九条政は怒りで目が眩むほどで、今や娘と婿の前で道化師のように、威厳など微塵もなかった。

「私の持つ十五パーセントの株式を加えれば、好き勝手にできますよ」