九条結衣は冷たい目つきで彼を横目で見たが、彼の言葉には答えなかった。
藤堂澄人のさっきの言葉に、他の株主たちは特に意味を感じ取れなかったが、二人が既に離婚したことを知っている九条政と木村靖子は、明らかに重要な情報を聞き取っていた。
外出前とはどういう意味だ?
昨夜、二人は一緒に過ごしたということか?
木村靖子は藤堂澄人の包帯で覆われた額を見つめ、まぶたを伏せると、その瞳の奥は暗く沈んでいた。
ちょうどそのとき、秘書が呼んだ警備員が上がってきた。
彼らは会議室の重役たちを見て、互いに顔を見合わせ、一瞬何をすべきか分からなかった。
「九条社長……」
秘書は慎重に九条結衣を見つめ、目に問いかけるような表情を浮かべた。
九条結衣は九条政の隣にいる木村靖子を指差して言った。「この方を外へ案内してください」