植田涼と一緒でも悪くない

彼女は前に出て、木村靖子を引き戻した。「お兄さんにそんなこと言って何になるの?自分から恥をかくだけじゃない?」

プッ——

九条結衣でさえ心の中で笑いを抑えられなかった。木村靖子が藤堂瞳の言葉で顔を歪めているのを見て、思わず瞳に拍手を送りたくなった。

「行きましょう」

藤堂瞳は木村靖子を引っ張って、怒り心頭で藤堂グループを出た。道中、多くの人が二人を奇異な目で見ており、藤堂瞳は自分がどれほど恥ずかしい思いをしたか言うまでもなかった。

木村靖子はさらに怒りで顔を歪めていた。藤堂瞳のこのバカ、さっきの言葉は何のつもり?

自分から恥をかく?

彼女は九条家の次女で、藤堂瞳に何も引けを取らないのに?

何が自分から恥をかくだって?

もし本気で植田涼と結婚したいと思えば、藤堂瞳のような人に振り回されるバカな頭じゃ、勝負にもならないのに。