325.母娘の争い

木村富子は顔色を失い、靖子に馬鹿だと罵られても反論できなかった。

「昨日は腹が立って、九条結衣にあんな風に侮辱されて、この怒りをどうしても抑えられなくて……」

「九条結衣に仕返しをするにしても、叔父さんに頼むべきじゃなかったでしょう。あの人の能力で何ができるか、分かってたはずでしょう?」

木村靖子は歯ぎしりするほど怒っていた。今や藤堂澄人の前での機会は少なくなっている。もし藤堂瞳が、自分が九条結衣を襲わせたことを知ったら、藤堂瞳の目の中での良い印象は台無しになってしまう。

藤堂瞳は九条結衣のことを快く思っていないとはいえ、是非をわきまえない人ではない。藤堂瞳が自分に失望したら、藤堂家に入る機会はさらに遠のいてしまう。

しかし今の重要なポイントは、それではなく……藤堂澄人だ。

もし彼が母親の仕業だと知ったら、簡単には許してくれないだろう。

木村靖子は考えれば考えるほど怖くなり、最後には歯を食いしばって言った。「お母さん、私は知らないわ。叔父さんのことがバレても、私は関わらない。自分で何とかして。」

木村靖子は今とても苛立っていた。前世で何か天に背くようなことをしたのかと疑うほどだった。不倫相手になった母親と、役立たずの叔父を持つことになるなんて。

そう考えると、また九条結衣が妬ましくなった。

九条家の本当のお嬢様は、九条爺さんの庇護があるだけでなく、有能な実母もいる。

それだけではない。祖父母も叔父も、誰もが地位のある人物なのに、自分の場合は……

木村靖子がどれほど認めたくなくても、九条結衣の周りの人々は、一人一人が自分より優れている。

そう思うと、憎々しげに冷笑して言った。「九条結衣の周りに私みたいな足を引っ張る人たちがいたら、彼女だって私より輝けないはずよ。」

木村富子は先ほどの靖子の警告に怯えていたが、今の靖子の言葉に含まれる露骨な嫌悪感に、まず驚き、そして信じられない表情を浮かべた。

「靖子、その言い方はどういうこと?お母さんが足を引っ張っているって言うの?」