これはまだ始まりに過ぎない

九条政は奥歯を噛みしめ、九条結衣の無関心な顔を睨みつけたが、結局、彼女の動じることのない、そして彼を無形のうちに打ち負かす態度に敗北を認めざるを得なかった。

彼は認めざるを得なかった。九条結衣の言うことが正しいということを。

目の前の九条結衣に対して、彼にはほとんど抵抗する術がなく、ただ彼女の思い通りにされるだけだった。もし彼女の言う通り、九条グループに強制的な資金調達を行ったり、もっと過激な行動に出たりすれば、彼は全てを失うことになるかもしれない。

だから、今の彼に残された唯一の道は、まさに九条結衣が提示した道しかなかった——

彼女が持つ株式を買い取ることだ。

彼は九条結衣の自信に満ちた様子を見て、彼女が彼を訪ねてきたのは、彼が買い取りに応じることを見越していたからだと明らかだった。

ふん!この小娘は母親と同じだ。いつも計算高く、一歩進むごとに先の数手を読んでいる。

「現在の株価では、そんなに多くは買えない。二十パーセントだけ売ってくれ」

彼は怒りを抑えながら冷たく言った。

九条結衣の口から冷笑が漏れた。「私をバカにしているの?三十五パーセント全部買い取るか、それとも一株も売らないか、どちらかよ」

言い終わると、九条結衣は手にした書類を持って立ち上がり、外へ向かった。

「九条結衣、待て!」

九条結衣は足を止めることなく、すでにドアの外にいた。

「九条結衣!」

九条政は歯ぎしりするほど腹を立て、部屋から追いかけ出た。「じゃあ安く売ってくれ。九割でどうだ?」

「時価で、一円も値引きなし。買うなら買う、買わないなら買わない」

九条結衣は歩き続け、九条政は彼女に全く譲歩の余地がないのを見て、九条結衣の細胞一つ一つまで憎らしくなった。

「分かった」

九条結衣の足取りは玄関で止まり、満足げに振り返って九条政を見た。「珍しく賢明な選択をしたわね」

九条政はもう九条結衣と言い争う気力もなく、ただ言った。「手元にそんなに現金はない。時間をくれ」

「三日」

「三日?九条結衣、それは三百億以上だぞ。三百円じゃないんだぞ」

「それはあなたの能力の問題ね。三日以内に用意できなければ、太田叔父さんに売るわ」

太田叔父さんは、九条グループの九条結衣と九条政に次ぐ第三の大株主で、十八パーセントの株式を保有していた。