「株式の件で話があるって言ってたけど、何を話したいの?」
九条政は彼女に向かって歩み寄り、彼女の前に座った。彼女と藤堂澄人が持つ九条グループの株式を警戒していなければ、彼女の前に座ることすら我慢できなかっただろう。
九条結衣は彼を一瞥し、すぐには話し出さず、ただお茶を少しずつ飲んでいた。彼女のこの落ち着いた態度を見るにつれ、九条政はますます焦りを感じていた。
彼が最も心配していたのは、藤堂澄人が本当にその15パーセントの株式を九条結衣に渡してしまうことだった。そうなれば、彼はいつでも九条結衣に九条グループから追い出されかねない。
「一体何を話したいんだ。そんなに時間を無駄にする暇はない」
九条政は完全に苛立ち始めていた。
ついに、九条結衣はゆっくりとお茶を置き、彼を見つめて言った。「私が持っている35パーセントの株式を、全部あなたに売るわ」