312.出て行け

一体誰が誰を怒らせているのか?こんな頭の悪い女を、植田涼はどうして好きになったのだろう?

九条結衣は藤堂澄人から離れようとし、彼女の意図を感じ取った藤堂澄人は、今回は無理に抱きしめることなく、彼女を下ろしてやった。

その後、内線を押して、「今後、下の警備員は出勤しなくていい」

藤堂澄人のこの言葉を聞いた藤堂瞳は、再び信じられない様子で目を見開き、鋭い声で言った。「お兄ちゃん、どういう意味?」

警備員が彼女を止めなかったことを責めているの?

彼女は藤堂グループのお嬢様なのに、今まで会社に来た時、誰かに止められたことなんてあった?

「勝手に私のオフィスに入ってきて、まだ何の意味かなんて聞く顔があるのか?」

藤堂澄人は冷たい目つきで、怒りで青ざめた藤堂瞳の顔を警告するように見つめ、低い声で言った。