342.無作法に乱入する犬

その男は仲間が田中行を呼ぶ声を聞いて、心が少し軽くなった。

ただの弁護士じゃないか、自分のような金持ちのおかげで食べていけるんだろう。気に入らなければ、いつでも法律事務所を潰せる。さっきまで何であんなに怖がっていたのかわからない。

山下社長は心の中で不愉快そうに舌打ちをし、田中行の冷たい視線をまっすぐ見返しながら、その後ろにいる会員制クラブの部長に向かって言った:

「松本部長、こんな風にお客様をもてなすのかね?どんな猫も犬も入れて、私の酒の雰囲気を台無しにして、あなた、それで大丈夫なのかね?」

松本部長は笑顔を浮かべたまま横に立っていたが、心の中では馬鹿野郎と罵っていた!

このクラブに来る人は誰もが身分の高い人物ばかり。少しお金があるからといって成金根性を丸出しにしているこんな田舎者が、よくもここで威張れたものだ。