371.株式譲渡

目の奥に明らかな打算が見え隠れし、腹に悪巧みを抱えた小狐のようだった。

藤堂澄人の唇の端が、それに合わせて緩やかに上がり、目元には淡い笑みが宿っていた。

電話の向こうの九条政は明らかに不機嫌で、九条結衣に対する口調も冷たく病んでいた。

「じゃあ、場所を決めましょう」

そう言って、九条結衣は電話を切り、微笑みを浮かべて彼女を見つめる藤堂澄人に視線を向けると、表情が一瞬凍りついた。

藤堂澄人の眼差しは柔らかすぎて、まるで初めて会った時の彼の姿を見ているかのようで、彼女の心は突然震えた。

気を取り直して、彼女は言った。「用事があって出かけないといけないので、誰か看病を頼んでください」

藤堂家には使用人が不足していないので、藤堂澄人の看病は問題ないはずだった。今の藤堂澄人の顔色を見ると、明らかに良くなっているので、彼女はもうここにいる必要はないと考えた。