373.不孝不仁不義の者

「親情カードを切ってくるの？」

彼女は同じように不満げな顔をした九条政を見て言った。「あなたが血のつながった父親だからまだ良かったものの、そうでなければ、あなたのその程度の能力で九条グループを任せるわけないでしょう？私の孝行はこれで十分よ」

こんな連中と話す気も失せ、彼女はソファから立ち上がり、「ご自分の身の振り方を考えなさい」と言った。

そう言って出ようとした時、九条政に後ろから呼び止められた。「待て」

九条結衣は苛立たしげに眉をひそめ、振り返って「何？」

九条政は彼女の前に立ち、九条結衣を見つめながら、当然のような態度で言った。「おじいさんはいつもお前の言うことを一番聞くだろう。俺と富子は来週結婚するんだ。もう意地を張るのはやめて、喜んで俺の結婚式に来てくれるように説得してくれないか？それでいいだろう？」

九条結衣は、九条政がここまで厚かましい人間だとは思わなかった。実の父親を入院させておきながら、見舞いにも行かず、謝罪もせず、よくもまた厚かましくも彼女に助けを求めてくるとは。

「何の自信があってあなたを手伝うと思ったの？よくそんな厚かましい顔ができるわね？」

九条政が木村家の母娘とこれほど仲が良いのも納得がいった。同じように厚かましく、同じように謎めいた自信を持ち、同じように厚顔無恥で頭が悪い。

彼女は九条政の脳なし遺伝子を受け継がなかったことを本当に感謝している。そうでなければ、この人生を生きていく価値もなかっただろう。

たった今、九条結衣と合意に達したばかりなのだから、せめて体面は保ってくれるだろうと思っていた。

しかし、彼女はこれほど遠慮なく彼を嘲笑し、九条政の顔は一瞬にして暗くなった。

「結衣、どう言っても俺はお前の父親だぞ。こんな些細な頼みも聞けないのか？」

九条結衣の目の中の温度は徐々に冷たくなり、九条政を見る目にも何の感情もなく、唇を歪めて冷笑いながら言った：

「そんなこと言わなければ、まだ人間として見られたのに」

「お前は...」

「本当におじいさまの祝福が欲しいなら、心から謝って許しを請うべきでしょう。でも、あなたはそうしましたか？していない。それどころか、おじいさまを病院送りにした」