お爺さんは気軽に手を振り、九条結衣の手の甲を軽く叩いて、「結衣、安心しなさい。お爺さんがいる限り、あなたが不当な扱いを受けることはない。私こそが九条家の家長なのだ。あの二人は、たとえお前の父親が連れてきたとしても、九条家の人間にはなれない」と言った。
今は自分の母親が九条政と離婚したので、結衣は木村靖子母娘が家に入ることを気にしていなかったが、お爺さんがこれほど彼女を守ってくれることに、心の中で嬉しく思った。
「分かりました、お爺さん。ありがとうございます」
祖孫二人が少し話をしていると、部屋のドアがノックされ、山本叔父さんがドアを開けて入ってきて、お爺さんに「ご主人様、藤堂お婆様がお見舞いにいらっしゃいました」と告げた。
続いて、白髪まじりながらも元気そうな藤堂お婆様が笑顔で入ってきて、「九条、具合はどうかね」と声をかけた。