彼女の言葉を聞いただけで、藤堂澄人の看病を続けるつもりだと分かった。目の奥に一瞬の寂しさが閃いたが、表情は飄々としていて、こう言った:
「じゃあ、俺は行くよ。でも、もし本当に生きる気がないなら、放っておいてやれよ」
九条結衣は彼の言葉に思わず笑みがこぼれ、先ほどの憂鬱な気分が少し晴れた。
「分かってるわ。死にたいって言うなら、この手で送り出してあげる」
「それもいいな。ライバルが一人減るってことだし」
渡辺拓馬は同意するように頷いたが、九条結衣から警告の白眼を食らい、降参するように手を上げて病室を出て行った。結衣の見えないところで、彼の口元の笑みは静かに消えていった。
これほど長い間待ち続けても、あのデカい豚足の藤堂澄人には敵わないのか。
出会いが遅すぎたせいなのか?