389.全世界から見放された喪失感

九条結衣は笑って言った。「確かに不愉快ですね。だから、おじいちゃんは私に結婚式場を解体するように頼んだんです。」

彼女は遠くにある、すでに見る影もない結婚式場を指さしながら、九条愛に告げた。

九条愛は遠くを一瞥し、笑いながらサングラスを元に戻した。「父らしいやり方ね。」

「おじいちゃんはどこ?」

「入院したの。今から見舞いに行くところよ。」

「どうしたの?急に入院するなんて。」

九条愛は眉をひそめ、使用人を呼んでスーツケースを中に運ばせ、自身は九条結衣と一緒に病院へ向かった。

病院への道中、九条結衣は九条爺さんの入院の経緯を九条愛に説明した。話を聞いた九条愛は怒り心頭で、九条グループに乗り込んで九条政を殺してやりたい気分になった。

九条愛の短気な性格は完全に九条爺さんから受け継いだもので、九条結衣は彼女が九条政の悪口を道中ずっと言い続けるのを聞きながら、ただ無力に首を振るしかなかった。