391.銀河系レベルの愚かさ

九条結衣は昼間に松本裕司が話していた予定価格の漏洩の件を思い出した。

予定価格が一度漏洩すれば、プロジェクト全体をやり直さなければならない。

バタフライ広場のプロジェクトはこの数日で着工する予定で、彼女が部屋に入った時、藤堂澄人はちょうどその件で忙しそうだった。

朝の松本裕司の言葉は、はっきりと聞いていた。会社の上層部に問題がないのに、上層部ではない彼女がこのプロジェクトの核心に触れていたことから、藤堂澄人は彼女を疑っていないが、会社の上層部は?

藤堂澄人と長年付き合ってきた秘書の松本裕司でさえ彼女を疑っているのだから、会社の上層部が彼女を疑わないはずがない。

こんな余計な疑いをかけられるのは本当に面倒くさい。

そう考えて、九条結衣は眉をひそめながら尋ねた。「あの予定価格の件はどうなった?」