395.木村靖子のために頼む(2)

九条政は藤堂澄人にこのように容赦なく経営能力を非難され、顔色が一気に悪くなった。

藤堂グループがどれほど強大であろうと、彼は結局のところ藤堂澄人の年長者であり前義父なのに、他人の前でこのように全く面子を立ててくれない。

その場で、九条政の表情は冷たくなった。

「藤堂澄人、どうあれ私は九条グループの会長だ。若造の分際で、もう少し丁寧な物言いをしろ」

威圧感のない警告に、藤堂澄人は意に介さない冷笑を浮かべた。

「九条社長を天まで持ち上げたところで、あなたの能力が天まで届くわけじゃないでしょう?」

この言葉を聞いて、傍らの九条結衣は思わず口元を引きつらせた。九条政が藤堂澄人に怒りで口が歪むほど激怒している様子を見て、結衣は急に清々しい気分になった。

藤堂澄人は九条政とこれ以上時間を無駄にしたくなかった。九条結衣の手を取り、老人の病室へと向かった。