395.木村靖子のために頼む(2)

九条政は藤堂澄人にこのように容赦なく経営能力を非難され、顔色が一気に悪くなった。

藤堂グループがどれほど強大であろうと、彼は結局のところ藤堂澄人の年長者であり前義父なのに、他人の前でこのように全く面子を立ててくれない。

その場で、九条政の表情は冷たくなった。

「藤堂澄人、どうあれ私は九条グループの会長だ。若造の分際で、もう少し丁寧な物言いをしろ」

威圧感のない警告に、藤堂澄人は意に介さない冷笑を浮かべた。

「九条社長を天まで持ち上げたところで、あなたの能力が天まで届くわけじゃないでしょう?」

この言葉を聞いて、傍らの九条結衣は思わず口元を引きつらせた。九条政が藤堂澄人に怒りで口が歪むほど激怒している様子を見て、結衣は急に清々しい気分になった。

藤堂澄人は九条政とこれ以上時間を無駄にしたくなかった。九条結衣の手を取り、老人の病室へと向かった。

藤堂澄人は九条政という人間を完全に見下していた。グループの会長どころか、人間としての資格すらないと。

実の父親がこの階に入院しているというのに、それもあの見苦しい愛人に怒らせられたせいなのに、見舞いにも来ずに私生児のことを聞きに来るとは。

いい顔をしてやれるわけがない。無理だ!

結衣との復縁よりもっと無理だ!

木村富子が九条政を呼んだのは、もともと木村靖子のことについてだった。藤堂澄人が彼らと話し合う気がないのを見て、すぐに焦り始めた。

彼女は九条政の袖を強く引っ張り、涙ながらに懇願した。「政さん、今は藤堂社長と争っている場合じゃありません。靖子はまだ留置所にいるんです。早く何とかしてください」

靖子は私生児とはいえ、幼い頃から苦労知らずに育ってきた。今、留置所で過ごすなんて、耐えられるはずがない。

九条政もそのことは分かっていた。先ほどは藤堂澄人に腹を立てて本題を忘れていただけだ。

藤堂澄人が遠ざかっていくのを見て、急いで追いかけた。

「藤堂社長!」

もはや親しげな呼び方はしなかった。どれだけ取り入ろうとしても、冷たくあしらわれるだけで、むやみに侮辱されるだけなのだから。

藤堂澄人と九条結衣の前に立ちはだかり、結衣に一瞥をくれた後、藤堂澄人に向かって言った。