「澄人、どうしてここに来たの?」
ベッドに寄りかかって新聞を読んでいた九条爺さんは老眼鏡を外し、藤堂澄人を一瞥して何気なく尋ねた。
藤堂澄人は九条爺さんの前に座り、眩しいほどの笑顔を浮かべて、「おじいさん、わざわざお礼を言いに来ました」と言った。
この熱心さは少し度を超えていた。
九条結衣は、いつもクールな藤堂澄人が突然ご近所のおばさんのように振る舞うのに違和感を覚え、見ていられない思いだった。
九条結衣だけでなく、九条爺さんも藤堂澄人の突然の熱心さに耐えられないようで、体が丈夫でなければ、この様子に驚いて気を失っていたかもしれない。
「何のお礼だ?」
「スープを半分分けていただいて、ありがとうございます」
九条結衣:「……」
九条愛:「……」
九条爺さん:「……」