416.愚かで利己的

「たかが数億円?藤堂グループのお金は風が吹いて集まってきたとでも思っているの?お兄様はまだ十代で、藤堂グループを救うためにどれだけ努力したか、あなたは知っているの?」

「たかが数億円だって!よく言えたものね!確かに今の藤堂グループにとってはたいした額じゃないかもしれないけど、それでもお兄様が一生懸命稼いだお金よ。よくも他人のためにお兄様を非難できたわね?」

「あなたが何不自由なく藤堂家のお嬢様として暮らせているのは、お兄様のおかげなのよ。あなたじゃない!何も努力もせずに、よくもそんな恥知らずな発言ができたものね!」

藤堂お婆様は、藤堂瞳のあまりの愚かな発言に本当に怒り心頭だった。

「そう、木村靖子のことをそんなに心配するなら、いいでしょう!藤堂グループが被った損失を、植田涼に靖子の代わりに返済させなさい。そうすれば、お兄様に彼女を許すよう考えてみましょう。」