417.恋心芽生えた少年

しかし彼女はただの使用人に過ぎず、主人の家のことについて何も言えなかったため、お婆様の言葉にも返事せず、ただ慰めるように言いました:

「今日のお嬢様へのお言葉は、きっと少しは心に響いたはずです。もうお怒りにならないでください。お体に良くありませんから」

藤堂お婆様は小さくため息をつき、首を振りました。

やはり自分の孫娘なので、あの子が良くなることを願っていました。さもなければ、澄人のあの性格では、本当に怒らせてしまったら、実の妹であっても容赦しないでしょう。

藤堂澄人は藤堂家から車を走らせ、九条家へと向かいながら、助手席に置いたラグドールの猫に時折目を向け、心の中で少し不安を感じていました。

自分が選んだこのペットを、妻に嫌われてしまうのではないかと心配でした。