442.子供を扇動する

小さな子がようやく自分に反応してくれたのを見て、藤堂澄人は胸をなでおろし、何かを思い出したような表情を浮かべた。

「そうか、オプティマスだったんだね。初はすごいね。メガトロンも作れる?」

メガトロンは映画『トランスフォーマー』に登場する最強の敵役で、その姿は凶暴で複雑な造形をしていた。

藤堂澄人にそう聞かれ、初は即座に首を振った。「作れない」

声はまだ沈んでいた。

「パパは作れるよ。パパが初に教えてあげようか?」

初の瞳が一瞬輝くのが見えた。涙はまだ頬に残っていたが、先ほどのような沈んだ様子ではなくなっていた。

大きな瞳が輝きながら彼を見つめ、その奥には期待の色が浮かんでいた。

「いい?」

藤堂澄人は期待を込めてもう一度尋ねた。

「うん」

こうして、藤堂澄人は初を膝の上に抱き、真剣に「メガトロン」を組み立て始めた。

その間、父子は時々言葉を交わし、とても仲良く過ごしていた。

しばらくすると、複雑な「メガトロン」が完成した。

小さな子は明らかに喜んでおり、先ほどの憂鬱な様子も消えていて、藤堂澄人はほっと胸をなでおろした。

藤堂澄人に一度教えてもらうと、初はすぐに覚えてしまい、出来上がった「メガトロン」を脇に置くと、自分で組み立て始めた。

「初、ごめんね。パパがずっとそばにいてあげられなくて、全部パパが悪かった」

初は積み木から顔を上げ、さっきパパがブロックの作り方を教えてくれたことを思い出し、満足げな様子で、もう藤堂澄人のことを怒ってはいなかった。

「どうしてパパはママと一緒に住んでないの?他のお友達のパパとママは一緒に住んでるのに」

そう言って、初は唇を噛み、顔に少し不満げな表情を浮かべた。「石川くんが言ってた。愛人と私生児だけがパパと一緒に住めないんだって」

藤堂澄人は初の言葉を聞いて、瞳が急に冷たくなり、深い瞳の奥に一筋の鋭い光が走った。

このような言葉は子供が自分で言い出せるものではない。きっと親が陰で噂話をしているか、あるいは先生が私的に噂話をしているのを子供が聞いてしまったのだろう。

今回これがきっかけとなったが、明らかにそれらの人々の目には、結衣と初は愛人と私生児としか映っておらず、陰では母子二人をどんな風に軽蔑しているか分からない。