441.オプティマス

かつての怒りのせいで、結衣に長年の辛い思いをさせただけでなく、自分の実の息子までも私生児と言われる結果となってしまった。

藤堂澄人は今になってようやく、九条結衣に許しを請う資格など全くないことを痛感した。むしろ、彼女にもう一度チャンスをくれと頼むことさえ、厚かましい要求だと感じていた。

九条結衣も九条初の言葉に驚き、心が大きく揺れ動いた。

彼女はずっと、九条初が父親という存在について一度も口にしなかったのは、本当に気にしていないからだと思っていた。ママがいれば十分だと。

しかし、三歳の子供にとって、父親という存在が幼い心の中でどれほど切望されているものなのかを、彼女は当たり前のように見過ごしていた。

幼稚園の行事のたびに、他の子供たちはパパとママが一緒に来るのに、彼の傍にはいつもママだけしかいない時の、あの切望と失望が入り混じった気持ちを思うと、結衣の心は何度も何度も引き裂かれる思いだった。