幼い頃から召使いに囲まれて育った坊ちゃんが作る料理なんて、想像するのも怖いわ。
「結構です。外で食べましょう」
九条結衣は藤堂澄人の提案を即座に断り、九条初の方を向いて言った。「ねえ、外で食べようか」
「うん」
九条初は素直に返事をし、手慣れた様子で九条二郎をベビーキャリーに入れた。「弟も一緒に連れて行こう」
なぜか、藤堂澄人や九条初が九条二郎のことを弟と呼ぶたびに、九条結衣は何か違和感を覚えずにはいられなかった。
そう感じながらも、九条初の要望に反対せず、手を伸ばして九条初の手を取ろうとしたが、避けられてしまった。
「ママとパパは手をつないで。初は弟と一緒に歩くの」
九条結衣:「……」
藤堂澄人は横で、九条結衣の知らず知らずのうちに赤くなった耳を見て微笑みながら、九条初に賞賛のまなざしを向けた。