藤堂澄人は作った目玉焼きを皿に盛り、他の料理の準備に取り掛かった。
ふと振り返ると、九条結衣が階段の入り口に寄りかかって、うっとりと彼を見つめているのが目に入った。
彼の動きが一瞬止まり、そして唇の端を上げ、彼女に向かって手を振った。
九条結衣は自分の盗み見が見つかるとは思わず、顔が熱くなり、目には心虚な恥ずかしさが浮かんだ。
藤堂澄人に見つかってしまったからには、意を決して近づくしかなかった。
キッチンの入り口まで来ると、すぐに肩を藤堂澄人に抱き寄せられた。
手が汚れていたため、彼は九条結衣の肩に直接触れることを避け、代わりに腕で彼女を自分の前に引き寄せた。二人の距離はさらに近くなった。
藤堂澄人は眉を下げ、意味ありげな笑みを浮かべながら彼女を見つめた。朝の陽光が彼の横顔を照らしていた。