二人が入ってくるのを見て、田中さんは急いで迎えに行き、二人の前に立って、小声で言った。「叔母様、お嬢様、旦那様と木村さんが応接間にいらっしゃいます」
「あの恥知らずがまた戻ってきたの?」
九条愛は以前、九条政が老爺を病院送りにしたことを聞いて、九条政を殺してやろうと思っていた。
その後、病院で九条政が藤堂澄人を訪ねた時、九条愛は出て行って彼を殺そうとしたが、老爺に止められた。
今や家に戻り、九条愛はその怒りを抑えきれなくなった。
九条結衣は九条政と木村富子が何をしに来たのか察していたようで、この二人の執念深さに感心していた。
まさにゴキブリのように執念深い!
九条家の応接間で、九条政と木村富子の表情は良くなかった。
二人は検察庁に行って担当者に会い、娘のために情状を求めようとしたが、検察庁の人は証拠が明白だと言い、公平に処理すると述べ、二人がどれだけ懇願しても少しも動揺を見せなかった。