401.厚かましい奴

二人が入ってくるのを見て、田中さんは急いで迎えに行き、二人の前に立って、小声で言った。「叔母様、お嬢様、旦那様と木村さんが応接間にいらっしゃいます」

「あの恥知らずがまた戻ってきたの?」

九条愛は以前、九条政が老爺を病院送りにしたことを聞いて、九条政を殺してやろうと思っていた。

その後、病院で九条政が藤堂澄人を訪ねた時、九条愛は出て行って彼を殺そうとしたが、老爺に止められた。

今や家に戻り、九条愛はその怒りを抑えきれなくなった。

九条結衣は九条政と木村富子が何をしに来たのか察していたようで、この二人の執念深さに感心していた。

まさにゴキブリのように執念深い!

九条家の応接間で、九条政と木村富子の表情は良くなかった。

二人は検察庁に行って担当者に会い、娘のために情状を求めようとしたが、検察庁の人は証拠が明白だと言い、公平に処理すると述べ、二人がどれだけ懇願しても少しも動揺を見せなかった。

二人も理解した。靖子を助けるには、藤堂澄人が許すしかない。

しかし藤堂澄人に許してもらうには、九条結衣に頼むしかなかった。

「やぁ!お兄さん、どうしたの?なんで愛人に死なれたみたいな顔してここに座ってるの?」

九条政は九条愛が入ってきた時から表情が悪かったが、彼女の言葉を聞いて、さらに殺意を覚えた!

小さい頃から彼はこの生意気な九条愛とは相性が悪かった。

老爺は良いものがあれば、まずこの生意気な女に与え、幼い頃から、この生意気な女に散々な目に遭わされてきた。

しかし今は、九条結衣に助けを求めなければならず、この生意気な女と争っている暇はなかった。

「お前はカナダで大人しくしていればいいのに、なんで戻ってきた?遠藤隼人に捨てられたのか?」

彼は皮肉を込めて言った。九条愛の表情がわずかに変化するのを見て、続けて言った。「ここは私の家だ。帰りたければ帰る。お前みたいに、能力もなく妻に頼り切りで、やっと足場を固めたと思ったら妻を蹴り出すような真似はしない。お前が将来路頭に迷う姿を想像すると、私は飯が三杯もおかわりできそうだ」

九条政は九条愛がこの生意気な女が帰ってきたら良い言葉を吐かないことは予想していた。

彼が最も聞きたくないのは、妻のおかげで成功したという話で、この生意気な女は決して良い言葉を吐かない。

「九条愛、お前は死にたいのか!」