456.様子がおかしい藤堂社長

担当者が後から駆けつけ、藤堂澄人を見た瞬間、表情を硬くし、急いで彼の前に歩み寄った。「藤堂さん、大丈夫ですか?」

担当者は緊張した様子で、もし藤堂澄人が自分の管轄区域で何か問題が起きたら、大変なことになると思った。

藤堂澄人の肘には、いつの間にか深い切り傷ができており、今も血が流れていた。

「藤堂さん、怪我をされています。病院にお連れしましょう。」

「必要ない。」

藤堂澄人は淡々と答え、肘の傷が骨まで見えるほど深かったにもかかわらず、眉一つ動かさなかった。

さりげなく袖を下ろすと、妻と子供を探しに向かった。

ショッピングモールはすでにあの狂人によって大混乱に陥っており、多くの人が切りつけられ、一人が死亡するほどの惨事となり、血が床一面に広がっていた。

警察はすでにその狂人を取り押さえ、現場の秩序も少しずつ回復していた。