こんなに気が利かないなんて、秘書失格だ!
メールを閉じると、彼は松本裕司の方を横目で見て、無表情で言った。「女性はどんなプレゼントをもらったら、心から喜ぶと思う?」
松本裕司は口角を引きつらせた。奥様にプレゼントを贈りたいなら、そう言えばいいのに。なんでこんなにツンデレなんだ?
松本裕司は最近、自分のボスのクールなキャラ設定が崩れてきているような気がしてならなかった。
「コホン……」
松本裕司は咳払いをして、鼻の上の眼鏡を押し上げ、真面目な顔で言った。「社長、実はですね、奥様は何も不自由されていないので、プレゼントを選ぶのは少し難しいかと……」
ここまで言って、松本裕司は一旦言葉を切った。社長の本心をそのまま暴露するわけにはいかないと思い、強い生存本能から言い方を変えた。