464.初の不安

九条結衣は藤堂澄人が彼女の言葉に詰まっているのを見て、満足げに朝食を食べ続け、彼を無視した。

藤堂澄人は九条結衣の目の中に垣間見える得意げな様子を見て、思わず笑みを漏らした。

手を伸ばして彼女の頬をつまみ、「いたずらっ子だな」

九条結衣:「……」

子供をあやすような口調で話さないでくれない?

私は彼の妻であって、娘じゃないんだから!

次の瞬間、九条結衣は無意識のうちに自分が藤堂澄人の妻という立場を認めていたことに気づき、顔を曇らせ、心の中で後悔した!

ちっ!誰が彼の妻よ!

彼女はこの強い潜在意識に対して複雑な気持ちになり、耳が自然と熱くなってきた。

そのとき、階上から低い泣き声が聞こえてきて、夫婦は顔色を変え、お互いを見つめ合うと、すぐに階上へ駆け上がった。

主寝室のドアを開けると、九条初がベッドの上で涙を流しながら座って泣いているのが見えた。ドアに現れた両親を見ると、泣き声が止み、涙で曇った瞳に一筋の光が差した。

「パパ!」

彼はベッドから勢いよく立ち上がり、藤堂澄人に向かって突進してきた。

藤堂澄人は急いで彼を受け止め、小さなお尻を優しく叩きながら、息子の涙まみれの顔を見て胸に込み上げてくる痛みを抑えて言った:

「どうして泣いているの?男の子は簡単に泣いちゃダメだよ」

九条初は藤堂澄人に抱かれながら、彼の首にしがみつき、顔を肩に埋めて小さな声で言った:

「さっきパパが見えなくて、またこっそり行っちゃったのかと思った」

藤堂澄人と九条結衣の心は、九条初のこの言葉に急に締め付けられた。

「初は安心して。パパは行かないよ、永遠に行かない」

彼は九条初を肩から離し、小指を立てて言った:

「初が信じられないなら、パパと指切りしよう」

「うん」

九条初は急いで指を伸ばし、藤堂澄人の小指としっかりと絡ませた。「嘘ついたら鼻が長くなるよ」

「そうだね。パパはこんなにかっこいいんだから、きっと醜い長い鼻になりたくないよ。だから初は安心して、パパは絶対に離れないから」

藤堂澄人は真剣な表情で息子の不安な心を慰めた。

昨日の話で息子を十分に安心させられたと思っていたが、まさかこの子の小さな心にこれほどの不安が残っているとは。