九条初は歩くのに夢中で、周りの状況に気付かず、突然つまずいて、体を止めることができなかった。
九条初が転びそうになるのを見て、結衣は考える余裕もなく、片足が九条初と繋がっているため、体を横に向けて九条初を守りながら、もう片足で九条初を転ばせないように努めた。
しかし、そうした結果、二人とも地面に倒れてしまった。
九条初は結衣が守ってくれたおかげで痛くなかったが、結衣自身は膝を地面に強く打ち付け、転んだ時に手のひらが地面と擦れて血が滲み、思わず眉をしかめた。
そして、九条初をつまずかせた保護者は何も気付かないかのように、自分の息子の手を引いてゴールに向かって歩いていった。
結衣は息子を助け起こし、「ねぇ、ママに見せて...」
彼女の言葉が終わらないうちに、傍らに人影が現れ、目の前にいた九条初は強引に脇へ押しやられた。