478.転ばされる

九条初は歩くのに夢中で、周りの状況に気付かず、突然つまずいて、体を止めることができなかった。

九条初が転びそうになるのを見て、結衣は考える余裕もなく、片足が九条初と繋がっているため、体を横に向けて九条初を守りながら、もう片足で九条初を転ばせないように努めた。

しかし、そうした結果、二人とも地面に倒れてしまった。

九条初は結衣が守ってくれたおかげで痛くなかったが、結衣自身は膝を地面に強く打ち付け、転んだ時に手のひらが地面と擦れて血が滲み、思わず眉をしかめた。

そして、九条初をつまずかせた保護者は何も気付かないかのように、自分の息子の手を引いてゴールに向かって歩いていった。

結衣は息子を助け起こし、「ねぇ、ママに見せて...」

彼女の言葉が終わらないうちに、傍らに人影が現れ、目の前にいた九条初は強引に脇へ押しやられた。