479.簡単には許さない

彼女は非常にケチな人で、特に息子を利用しようとする人に対しては、簡単には許さないタイプだった。

今は気にしないふりをしているが、本当に許すわけではない。

母子を一瞥した後、彼女は唇を歪め、その母親に警告の眼差しを向けてから、視線を戻した。

奥様がそう言うなら、藤堂澄人はもちろん従順に、彼女に向かって柔らかな視線を向け、軽く頷いた。

身を屈めて再び九条結衣を抱き上げ、休憩所の方へ向かいながら、「彼らに文句は言わないから、まずは怪我の具合を見せてくれ」

彼は九条結衣を椅子に座らせ、彼女の前にしゃがみ込んで、慎重にズボンの裾をまくり上げた。

九条結衣の脚は白く、ふくらはぎは細くて長く、とても綺麗だったが、今は膝が大きく腫れ上がり、白い肌に浮かぶ青紫の痣が際立っていた。

藤堂澄人の表情が、再び暗くなった。

金田会長が自ら軟膏を持って急いで近づいてきた。「藤堂さん、これは保健室から持ってきた軟膏です。まずは藤堂奥様に塗っていただいて、後ほど検査に行きましょう」

藤堂澄人は険しい顔で受け取り、終始無言のまま、金田会長を硬直させるほどの威圧感を放っていた。

藤堂奥様の転倒は自分には関係ないとはいえ、ここは自分の幼稚園だ。この人が理不尽な怒りを向けてきたら、自分に矛先が向くかもしれないと思うと怖かった。

藤堂澄人は彼を無視し、九条結衣の前で片膝をつき、慎重に彼女の脚を持ち上げて自分の膝の上に置き、腫れて青くなった膝に軟膏を塗り始めた。

九条結衣は彼のこの行動に一瞬驚き、思わず目を上げて彼を見つめた。

藤堂澄人が眉を下げ、濃い睫毛が冷たい思考を隠しているのを見て、彼が何を考えているのか推し量れなかった。

ただ、これほど多くの人の前で、彼が彼女の前に半跪いて薬を塗るという行為には、かなりの謙遜の意味が込められていた。

少なくとも部外者から見れば、金字塔の頂点に立ち、皆から仰ぎ見られ、帝王のように尊い男がこのようなことをするべきではなかった。

他人はもちろん、九条結衣自身も、藤堂澄人のこの行動を見て、同じように信じられない思いでいた。

この頃、藤堂澄人が何かと彼女の前で好意を示し、言動の一つ一つに取り入るような様子があることは分かっていたが、まさか人前でこんなことをするとは思ってもみなかった。