運転中の運転手は、普段クールな社長が突然「甘えた」ような声を出すのを聞いて、驚いてブレーキを踏んでしまった。
「申し訳ございません、社長」
運転手はすぐに謝罪の言葉を口にした。内心では社長に驚かされて動揺していたが、プロ意識の高さから表情を変えることなく対応した。
まさか社長がこんなにも色っぽい男性だったとは。印象では常に天山の雪蓮のように冷たい人物だと思っていたのに。
完全に見誤っていた!!!
驚きでいっぱいの心を抱えながら、社長一家を自宅まで送り届けると、運転手は解放されたかのように安堵の息をついた。
家に着いた時には、一日中興奮していた初はすでに車の中で眠っていた。
藤堂澄人が抱き上げようとしたが、九条結衣に止められた。「私が抱きます」
「妻が僕のことを心配してくれているんだね」