九条結衣が突然そんな甘えた声で彼を呼んだので、藤堂澄人の心臓は再び強く締め付けられ、鼓動は制御不能なほど加速し始めた。結衣はこれまで一度もこんな風に彼を呼んだことがなかった。
「結衣……」
藤堂澄人は喉が乾いているのを感じ、彼女のその柔らかな声に全身が熱くなってきた。すでに落ち着かない心も、さらに騒がしくなり始めた。
九条結衣は彼の顔をじっと見つめ続けていた。まるで小さな野生の狼が大きな白うさぎを狙っているかのように。彼は結衣が目の前で唇を軽く噛むのを見た。
この強い誘惑的な仕草に、藤堂澄人はさらに体が熱くなるのを感じた。
彼は分かっていた。腕の中のこの女性がこのような姿で誘惑し続けたら、きっと自分でも制御できないことをしてしまうだろうと。
特に、彼女の頬が赤く染まり、目を細めて彼を見つめる様子は、まさに彼の人間性と忍耐力への挑戦だった。