この雑用は俺に任せろ

傷は深くなかったが、氷水で洗い流したばかりで出血は止まっていたものの、藤堂澄人は安心できず、彼女を居間へと連れて行った。

九条結衣は先ほどの脳裏に浮かんだ光景のことを考えていて、他のことに気づかないまま、藤堂澄人に連れられて居間に座らされた。

ヨードチンキが傷口に触れた刺すような痛みで、やっと先ほどの鼻血が出そうな光景から我に返った。

いつの間にか、藤堂澄人は救急箱を持ってきて、片膝をついて彼女の傷の手当てをしていた。

この角度から見ると、藤堂澄人の五官は完璧で、どこ一つ欠点を見つけることができないほどだった。

最初に彼に会った時、彼と結婚したいと決めたのは、おそらくこの顔のせいで、見た目に惹かれたのだろう。

お兄さん、私と結婚してくれない?

脳裏に、突然また自分の声が響いた。幼い頃の幼い声ではなく、今の自分の声だった。