507.色に目がくらむ

沈黙の後、彼女は頭の中に浮かんだ奇妙な光景を思い出し、考えれば考えるほど不安になった。

本当にあんなことが起きたのだろうか?

先ほどの食事の時、藤堂澄人が彼女を見つめていた戯けた眼差しと、彼の言った言葉を思い出すと、九条結衣はますます違和感を覚えた。

酔っていた時、本当に...あんなことをしてしまったのだろうか?

自分があんなことをし、あんな言葉を言ってしまった可能性を考えると、九条結衣は呆然としてしまった。

どうして藤堂澄人のような人にあんなことをしてしまったのだろう?

まさか、そんなはずない!

心の中でそんな可能性を否定したものの、考えれば考えるほど自信がなくなっていった。

もし何もしていないのなら、頭の中のあの光景は一体どこから来たのだろう?

九条結衣はそれ以上考えることができなかった。もし更に酷いことをしていたら、本当に人に会わせる顔がない。