もともと九条結衣は先ほど頭に浮かんだ光景に恥ずかしさと怒りを感じていたが、今、藤堂澄人にこんな甘い姿勢で押さえつけられ、顔が一気に真っ赤に染まった。
「藤堂澄人、何してるの?早く離れなさいよ!」
彼女は掠れた声で言い、緊張で声が微かに震えていた。
こんなに年月が経って、藤堂澄人に対して余裕を持って接することができるようになったと思っていた。
最初は、自分はできていると思っていたが、実は最初から最後まで、4年前と何も変わっていなかった。
ただ、4年後には、上手く装えるようになっていた。でも、その装いも長くは続かなかった。
彼女の怒りに対して、藤堂澄人は動じることなく、手で九条結衣の熱くなった頬に優しく触れた。
九条二郎が近づいてきた時、その首根っこを掴んで、横に放り投げた。