520.また揉め事が起きる

「気を付けて行ってきてね」

九条結衣は売店に向かい、藤堂澄人は息子と次のアトラクションへ向かった。

人が多かったため、父子は長い列に並んで順番を待った。遊び終わって降りてきた時、まだ九条結衣が戻ってこないことに気づき、澄人は不安を覚えた。

「息子、もう遊ぶのは止めて、ママを探しに行こう」

九条結衣は、ただの水を買いに行っただけなのに、このような厄介な一家に出くわすとは思ってもみなかった。

その悪ガキがおもちゃの剣を持って彼女に突っ込んできた。彼女は本能的に避けたものの、手の甲を剣で傷つけられてしまった。

おもちゃの剣とはいえ、刃先は異常なほど鋭く、さらにその子供が突っ込んできた時の勢いも強かった。もし避けていなければ、もっとひどい怪我をしていたに違いない。

子供一人のことだし、あまり深く追及したくないと思っていたが、その子供は彼女が避けたせいで転んでしまい、その親が逆に彼女に因縁をつけてきた。