無視された藤堂澄人は心中鬱々として、彼女のデスクの前に座り、沈んだ声で言った。「明日出張に行くんだけど、少しの間一緒にいてくれないか?」
九条結衣はキーボードを打つ動作を一瞬止め、横目で彼を一瞥して、さらっと言った。「二、三日で帰ってくるんでしょう?」
藤堂澄人は「僕は納得できない」という表情で、椅子を引き寄せて九条結衣の隣に座り、長い腕を伸ばして、九条結衣と彼女の座っている社長椅子ごと自分の前に引き寄せた。
「何するの?」
九条結衣は眉をひそめ、目の前に座って物憂げな表情の男を見つめながら、彼の言葉を聞いた。「一日千秋という言葉を知らないのか?」
九条結衣:「……」
「僕にとっては、一日千秋どころか、一秒千秋なんだ。計算してみてよ。二日間は48時間、一時間は60分、一分は60秒。君に会えない時間は17万2800秒。一秒が一年として、それは17万2800年君に会えないということになる。この気持ちが分かるかい?」