ゆっくり遊ぼう、殺さないように

「はい」

徐々に藤堂「妻」の賢さに慣れてきた九条結衣は、当然のように息子を連れて二階へ入浴しに行った。

藤堂澄人は母子が去っていく様子を見送った後、笑みを浮かべながらキッチンへ向かった。

妻と子供のために料理を作るという感覚は、新鮮で素晴らしいものだった。

そのとき、藤堂澄人の携帯が鳴った。松本裕司からの電話だった。

「話せ」

電話の向こうの松本裕司は、自分のボスのこの簡潔で力強い一言を聞いて、一瞬戸惑った。ボスは彼の電話をあまり歓迎していないようだった。

もしかして、また何か邪魔をしてしまったのだろうか?

そう思った瞬間、郵便室に追いやられることを恐れた松本秘書は、姿勢を正し、一刻の無駄も許されないという思いで、すぐに言った。「社長、木村靖子の判決が出ました。関与した金額が巨額だったため、裁判所は10年の刑を言い渡しました」